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若葉学習会専修学校報「泉」 理事長随想

若葉学習会専修学校報「泉」 理事長随想
 
 
 
若葉学習会専修学校報「泉」
     理事長随想(最新号)
 
 60年の歴史ある若葉学習会の学校報に、毎月理事長が寄稿している随想。
 最新号をお届けします。「泉」ももうすぐ600号になります。
 当時15歳だったみなさんは、いまおいくつになられているでしょうか。
 
 
2017年6月号(600号)

2017年6月号(600号)
 
ちょっと腹立つ話

~ホテルと航空機とテレビ~

 

  理事長 吉野恭治
 
 
  今年3月19日・20日・21日は連休だった。土曜日と日曜日と春分の日である。私は20日に神戸で所用があり、それも早い時間だったので前日から神戸か大阪に宿をとっておこうと考えてネットで探そうとした。そして思わずのけぞったのである。私はよく大阪のリーガロイヤルホテルを使用する。開業期から使っているし、会員でもある。ホテル内の喧騒もなく、ゆったりとした空間に非日常の空気が流れて好きなホテルの一つである。部屋もほどほどに広く、狭苦しくはない。驚いた第1は空室がほとんどないことである。「そうか3連休というとこんなにまで混むのか」と感じ入った。大阪のいくつかのホテルを探してみた。どこもほとんど満室だった。神戸の北野ホテルもポートピアホテルも同様である。宿泊はあきらめた。当日早朝に起きて、JRに乗ることにした。午前中に神戸に着ける。早起きという手段で解決することにした。
 驚きの第2は「空室がないわけではない」という事態である。特上のスイートルームを予約するわけではないのに、ロイヤルホテルはその部屋が1泊8万5千円もする。よく世間でいう「寝るだけ」である。さらにこの部屋は21日の連休最終日(翌日は平日となる)には、前日の半額になる。平常ではもっと安い日もある。一夜にして8万円が4万円になる。リッツカールトンも10万円近く、そのカレンダーを見た商売意識に感心した。多少都心から離れている大阪湾のハイアットホテルでも通常2万円程度の部屋でも3万5千円もする。要するに需要の見込める日は自動的に高いのである。ユニバーサルスタジオに家族4人で行こうなどと思ったら、ホテル代だけで10万円を超える。これでは平日に休めない会社員などは、平日に行く人の倍近い費用を負担せねばならない。それでもその日にしか行けない人は負担をしのんで、しかも大混雑の中を出かけるしかないのだろう。私は笑顔で客を迎えるホテルのロビーを思い浮かべながら、その裏にあるたくましい商魂を思い知らされた。
 ゴールデンウイークに海外旅行に出かけると驚くほど平常より高い。少しでも安いところを見つけて参加すると、「てるみくらぶ」に出会ってしまうことになる。
 全日空の航空運賃でも似たような体験をする。もともと地方小都市空港は単独路線の場合が多い。米子も鳥取も全日空の占有路線のようなものである。東京行きの格安運賃でスカイマークが鳴り物入りでやってきたが、あっという間に引き上げた。会社再建の経営戦略に全日空もスカイマークに出資することになったから、もはや格安で飛ぶ航空会社の乗り入れは当面県内空港では望めない。JALとANAが2社とも運航する競合路線は、割引運賃の戦いが熾烈である。その分そこに居住する人はその恩恵に大きく浴する。9月ごろまでの安い運賃なら、東京~福岡JALで9800円というのがある。米子を超えて東京から九州まででこの運賃である。競合の激しい岡山~東京と比べてみよう。9月全日空の利用だと朝7時前の東京発米子行きなら9690円で買えるが、午前10時のフライトだと16490円になる。同じ時間頃に東京から岡山に飛ぶフライトなら午前10時も、午後3時も9890円だ。東京から沖縄那覇へ8900円、東京から札幌へ10500円、大阪へは7400円。いかに競合路線でない地域は負担が大きいかがわかろう。
 シニア料金というのがある。ANAでは当日空席があれば利用できる。空港へ行ったけど満席だったという場合もあろうが、安いから急ぐわけでもない高齢者には大きな支援になる。呼び名は変わったが、今はスマートシニアとかいう。この料金はつい先日までは13300円だった。しかし今は16290円、23%いつの間にか引き上げられた。まだ夏休みや冬休み、いわゆる繁忙期だとシルバー料金も19000円となり、かっての運賃より43%高くなっている。それに繁忙期の設定期間大幅に伸びている。冬休み期間は12月2日からである。12月2日から休む会社も学校もないだろうが、全日空では「冬休み期間」である。以前は年末には東京から地方へ、年始には地方から東京へ飛ぶ便は高かったが、その逆はそこまで高くはなかった。料金設定も需給バランスを考えるやさしさがあった。今は高く均一化されている。今は当日であれば全便シニアで予約が可能という便利さが宣伝されているが、これだと最終便の予約が当日朝からできるということだ。便利だが実際やってみると電話では受け付けない。空港まで出かけていくしかない。いささかに失望する。こうした猫の目のような改定が、運営する関係者の少数の意志で簡単に決められている気がしてならない。
 ANAがJALと違うのは、国営のように威厳を備えて、利用客の心に応えなかったJALの企業姿勢である。私もJALの株主だった。ある日それはただの紙切れになった。しかも何千億円かに上る国家支援を受けて再興された。旧株主には1枚の割引券も来なかった。ANAはあくまでも自力で運営を続けている。ANAはその点は偉いし評価したい。ただ企業として生きる経営の優しさは持ち続けてもらいたい。
 最近腹立つことの一つにテレビ番組の発想や構成の貧弱さが目立つことだ。4月9日に放送された「美空ひばり生誕80周年特別企画」もそうだ。美空ひばりは戦後の復興に燃えた日本人の心を癒し続けた。ひばり世代の人はひばりと共に昭和を生きてきたのである。それは今後絶対に2度と生まれることのない歌手ひばりの才能による。この番組で「ひばりを歌い継ぐ」というコーナーがあった。皮肉なことに「ひばりの歌は簡単には歌い継げない」ということを教えてくれた。若いぽっと出の歌手にひばりは歌えない。傑作「リンゴ追分」は追分である。裏声から表に転ずる時の溶けるようなすごさは、ひばりにしか歌えない。「悲しい酒」で歌うたびに涙を流したひばりの歌は、豪華な酒場ではなく、人生の吹き溜まりのような酒場の哀愁をたたえた名曲で、せりふ回しも圧倒的である。若い歌手の歌には小指ほどの哀愁もなかった。歌は時代を生きる。ひばりの声はそのまま戦後である。テレビを観ていて次第に腹立たしくなったのは、「ひばりの歌は誰にも歌い継げない」ということを知らないプロデューサーやディレクターの薄さである。こんな歌手に歌い継いでもらうなら、歌い継いでもらう必要なんかない。今の技術であれば保存は可能なはずだから、「ひばりの歌はひばりが歌い継げばいい」のである。作詞家なかにし礼さんは映画「悲しき口笛」を何十回も観たという。デビューの頃のひばりに圧倒され感動した。後年作詞の依頼を受け、はじめてひばりに出会ったときの興奮と震えを書いている。ひばりは昭和の財産である。その財産を壊すような番組を作らないでほしい。「お祭りマンボ」で私たちは働いて励まされてきたのである。


 

             
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