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若葉学習会専修学校報「泉」 理事長随想

若葉学習会専修学校報「泉」 理事長随想
 
 
 
若葉学習会専修学校報「泉」
     理事長随想(最新号)
 
 60年の歴史ある若葉学習会の学校報に、毎月理事長が寄稿している随想。
 最新号をお届けします。「泉」ももうすぐ600号になります。
 当時15歳だったみなさんは、いまおいくつになられているでしょうか。
 
 
2017年5月号(599号)

2017年5月号(599号)
 
受験は母親が9割

  理事長 吉野恭治
 
 
 「日本で今いちばん合格しにくい大学・学部はどこだろう」と大学を目指す高校生に聞けば、「東大理三」と全員が答えるだろう。センター試験でも、ほぼ満点近い結果を出さないと、2次で対等に戦えない。私がこの60年、学習指導をやりながら耳にした理三の合格者は、米子東高校卒で1名か2名である。何十年に一人の合格者しか出ない。「どんな才能や学力に恵まれた者が合格するだろう」と思う。普通は自分や自分の家族が、理三を受験するということだけでも考えられない。もとから考えているなら「あきらめる」という選択があるが、受験を考えることもないので「あきらめる」という選択すらない。超難関の慶応大医学部や東京医科歯科大に合格すれば、理三でない限り東大合格を放棄する者もいる昨今、「東大理三」はあくまで大学の頂点に君臨している。
 そんな実情の中、3人の男の子とひとりの娘という4人の子どもをすべて東大医学部に現役合格させた母親がいる。特別に名家でも、裕福でもないいわば平凡な家庭から、これほどの合格を出した秘密はどこにあるのか。考えてみれば興味がつきない。4人の子を東大理三に入れた母親の名は佐藤亮子さん。その佐藤さんの受験子育ての奮闘記を佐藤さん自身が書いた本がある。母親でなくてはできないような心遣いが列記されているが、そうかといってそれが普通の家庭の母親として難しいことは実にひとつもありはしない。その気になればいくらでもできる母親の奮闘記なのである。この本のタイトルは「受験は母親が9割」、出版社は朝日新聞出版、1300円。
 この本の冒頭で佐藤さんはこうのべている。「子どもの勉強をサポートすることを、親がためらう理由はひとつもない」。たしかに世間では「あの人は教育ママだから」「あんなにうるさかったら子どもたちからうっとうしがられるのでは」「子どもの面倒を見すぎて過保護になるのでは」などという危惧を感じる人たちもあろう。佐藤さんは「親はためらってはならない」と断じている。佐藤さんはそのことを子どもたちの歯磨きに例をとって語っている。長男が生まれてから佐藤さんは、わが子の歯磨きを毎日20分やった。3か月に1回は歯医者につれて行き、虫歯のチェックも行った。子どもが増えると大変だったが小学校6年生までは歯磨きを手伝った。現在大学生になった子どもたちは4人とも虫歯はひとりもいないし、1本もない。こうして丁寧に歯を磨く習慣がどの子にもついたと佐藤さんは言う。「歯を磨かなくちゃだめよ」というだけではこうはいかない、自分がサポートすることで子どもが納得して自主的にできるようになる。勉強もこれと同じだ。「勉強しなさい」というだけではダメ。親が徹底的なサポートをすることで、子どもは親から離れても、自分で勉強するようになると述べている。
 佐藤さんの提言にはいくつか大いに共感するものがあった。その中で佐藤家には個別の勉強部屋がない、ないというより作らなかったという話が面白かった。ドアを閉めて個室に入れば「勉強しているな」と親は安心する。しかしそれに疑問を投げかけている。立派な勉強部屋も豪華な机もいらない、「いつも子どもたちのそばにいてやりたい、寂しくないように」と考え、リビングに4つの机を並べた。家族互いの顔がいつでも見れたし、キッチンにいても子どもたちの様子が手に取るようにわかった。食事も、勉強も、睡眠もみな同じ部屋でやっていたから、子どもたちにとって勉強することが日常の中で何の無理も起こさなかったと述べている。生活感覚で勉強と取り組む姿勢を持ったということだろう。私の孫たち2人も燐家に住んでいるが、たしかに個別の勉強部屋は持たなかった。そのスペースもなかった。キッチンのテーブル、居間のテーブルを渡り歩いて育った。2人とも志望高校に合格し、兄の方は目指す大学にも合格した。あの雑音の多いリビング感覚そのままの自習環境で、うまく楽しく勉強して見せた。立てこもりの方法も時間もなく、それで狙い通りの結果となるのがすごい。佐藤さんの主張に同感したいと思う。佐藤さんの家のリビングを描いてもらった。この中で何気なく置かれているコピーの効用も私自身実感している。子どもの勉強する手近にコピーがあればずいぶんと役立つ。まず問題は1問1枚に拡大コピーをとると、問題解決で着想も深さも違う。言い換えれば早く頭に入り、早く解ける。宿題や問題も片っ端からコピーすることで、勉強の時間も大きく節約できたという。コピーこそは1台欲しいものだと書かれてある。
 佐藤さんが母親として、どの母親にも必要と思われながら、実行の難しい行動をいくつか挙げている。佐藤さん自身はこれ以外にはないという信念に似た強いものがあるから簡単にできることでも、なかなか実行は難い。
①きょうだいと公平に接し、周囲とも比べない。
 「お兄ちゃんはこれはできた」とか「○○ちゃんはよくできるそうじゃないの」とか比較することをしない。
②よい塾は子どもの能力だけでなく母親も育てる
 よい塾との出会いは子どもの勉強する意欲に大きな影響を巻き起こす。プロに任せるのが一番。母はお手伝いでいい。塾は近さで選んではいけない。
③受験生がいれば盆もお正月もない。
 受験勉強は受験する子どもだけが孤独に戦うものではない。佐藤家では受験生のいる年はおせち料理もなし、初詣もなしで、集中できる雰囲気づくりをやる。
 佐藤亮子さんが述べたいくつもの「母親の心得」の中で胸に響くのは「9割できているは危険な言葉。テストは絶対100点を狙う」の主張である。常に100点でこそ展望も開ける。100点はとれなくても90点は取れるからというのではもう伸びしろがないという。この本ぜひ1冊購入されてはいかが。
 

             
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